婚礼衣裳 |
結婚衣裳は挙式の形式によって異るが、格調高く気品を大切に、人生の晴れの門出を祝福するのにふさわしいものを選ぶ。花嫁が白無垢のときは、新郎も和装で、黒五つ紋付き長着、羽織、袴で装う。花嫁がウエディング・ドレスの場合には、新郎の洋装の礼服は燕尾服、タキシード、モーニング・コートであるが、着る時間や花嫁の衣裳に合わせて選ぶ。新郎は昼間はモーニング、夜は燕尾服となる。またお色直しで、花嫁が華やかなカラードレスの場合は、新郎はタキシードが一般的で、黒の他に白やグレー、紺などの色ものがある。又丈の短いスぺンサージャケットもある。 1 新婦の婚礼式服 (1)和装 和装の式服は、打掛で文金高島田が正装である。 「白無垢」は元来上級武士の礼服として使われ、打掛の中でも正式とされ、打掛から帯、下着、小物まで全部白とする。豪華さの点では色打掛がある。布地も金襴や唐織、おめでたい地紋のある綸子や緞子に刺繍や金銀箔のあるものなどがある。上着(掛け下)は紋綸子、長襦袢は紋縮緬、下着は羽二重、帯は掛け下と同じ生地に金糸刺繍をほどこしたもの、帯締めは白か赤の丸ぐけ、足袋は白、草履は紅白か金銀重ね、筥迫(はこせこ)、懐剣、扇子を持つ。 「色打掛」は白無垢のお色直しとして使われていたが、現在では同格である。金欄、唐織り、糸錦など豪華な織物や手描き友禅に、金銀箔や刺繍で、目出度い吉祥模様があしらわれている。和風のお色直しには本振袖か中振袖を着る。本振袖は緞子縮緬や一越縮緬に吉祥模様を主とした古典柄を染め、箔、刺繍を使って仕上げた桧羽模様に、唐織り、糸錦の丸帯か袋帯を合わせると格調高い装いとなる。下着は羽二重の白無垢、長襦袢は赤か白の紋縮緬、足袋は白、草履は紅白重ね、はこせこ、懐剣、扇子を持つ。 ●角隠し 髪の毛の不浄を隠すためにつけた。 花嫁の角隠しは白色。 入家を意味する「入」の形に、右端を上にして、後ろでまとめる。 左端を上にした「人」の形は人と人が支え合うという意味がある。 (2)かつら、くし、笄(こうがい) 現在、一般的に花嫁の髪形は高島田を使うが、色打掛のときに髷(まげ)から後へ毛を流した通称「おなが」や、たぼ(関西ではつと)を上に持ち上げた「京髷」などがある。かつらは人工で黒と茶褐色があり、額から両頬にかけて実際に毛が生えているように見える「網かつら」を使う。 くしはべっ甲、プラスチックなどが主流だが、本物のべつ甲に真珠、珊瑚をあしらったものや、お色直し用に金属にダイヤなどの光る素材を使ったのもある。一般に打掛用に白、べっ甲、あめ色、金のくし、笄が使われ、お色直し用には金、赤やプラスチックのピンク、紫などの笄がある。 (3)洋装 洋装の婚礼衣裳は、白のウエディング・ドレスに、ヘッド・ドレスをつける。ウエディング・ドレスは、本来キリスト教結婚式の式服であった。色は白が正式で、衿元は余り肌を出さず、タイトの長袖にするが、短袖の場合は肘の上までくる白の長手袋を着ける。スカート丈はフルレングスが正式。裾はベールとともに長くトレーン(もすそ)を引くというのが正式。素材は正式はレースであるが、デザインによってはサテン、タフタなどがある。ヘッドドレスはドレスにあったもの。靴下は白、靴はドレスの共布をはったもの、または白エナメルか白革のパンプス、手袋は白、アクセサリーは真珠に限られている。指輪は結婚指輪以外はつけない。 (4)新婦衣裳一式 ◎和装正式(白無垢) @打掛(白の紋綸子、緞子) A掛下(上着は白羽二重か紋綸子。下着は白羽二重) B長襦袢(長着と同色の紋縮緬か白羽二重、半衿、白羽二重か白地に金銀縫取) C帯(掛け下帯、長着と共布、文庫結び) D帯あげ(白無地) E帯締め(白羽二重、丸ぐけ) Fかかえ帯(帯の下を飾る細帯白綸子) G足袋(白絹) H草履(紅白重ね、金銀重ね) I髪(文金高島田に結い、角隠しか綿帽子、櫛、笄) J小物類(懐剣、筥迫、扇子などすべて白か銀) ◎洋装正式 @ウエディング・ドレス(ベティコートー揃) Aヘッド・ドレス(白い花飾りにベール、またはティアラにベール) B靴(白サテン、白革パンプス、白エナメル) C靴下(白のストッキング) D手袋(白、ドレスのデザインに合わせる) Eネックレス(パールが最適) Fブーケ(白一色が正式。バラ、ラン、クチナシなどの生花) G結婚指輪(新郎から贈られたもの) ◎洋装略式 @セミアフタヌーン・ドレス、カクテル・ドレス(白) Aブライダル・ハット(白、淡色) B〜G正式に準ずる |