法律編 |
冠婚業務を遂行するうえで、それらに関連する法律は数多く存在している。ここでは次の項目を取り上げた。 ◎婚約から出産までの法律知識。 @憲法 A民法 B戸籍法から関連のある項目を取り上げた。 ◎管理上の法律知識。 @遺失物に関する遺失物法、 A紛失物に関する商法、 B火災に関する消防法、その他、 C不法行為に関する民法、 D食品衛生に関する食品衛生法、 E飲食接待に関する風俗営業法等について取り上げた。 婿約から出産まで (1)男女の権利 憲法 家族生活における個人の尊厳(24条) 婚姻は両性の合意に基づいて成立する。 (2)婚姻について 民法 婚姻適齢(731条)未成年者の婚姻(737条)婚姻の取消(743条)夫婦の財産関係(755条)協議上の離婚(763条) 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。(760条) (3)戸籍届 戸籍法 戸籍の記載事項(13条)出生届け(49条)子の名の文字(50条)婚姻届(75条) 出生の届出は、14日以内にこれをしなければならない(49条) 管理上の法律知識 (1)落し物 遺失物法 拾得物の処置(1条)捨得者の報労金請求権(4条) 100分の20までの報労金を給する(4条-1) (2)紛失物 商法 客から預かった物(594条)客から預からなかった物(594条-2) (3)火災 消防法 防火管理者(8条)、高層建築物等の防火管理(8条)、高層建築物等で使用する防災対象物の規制(8条-3)◎適マーク(点検項目) 防災対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品)は基準以上の防災性能を有するもの(8条-3) (4)不法行為 刑法・民法 建造物損壊(刑法260)喧嘩(民法719条) 酔っ払ったうえでの行為の責任(民法713) (5)食品衛生 食品衛生法 目的(1条)基準・規格の設定(7条) 食中毒についてもふれている (6)風俗営業 風俗営業法 目的(1条)営業の許可(3条)営業時間の制限(13条) 営業時間、照度、騒音振動などの規制が設けられている 1節 婚約から出産までの法律知識 1 男女の権利 憲法では、婚姻は当事者同士の合意があれば成立するということで、旧憲法とは異なって、「家」中心に結ばれることではなく、個人の意思を尊重している。また家庭生活における男女の平等を規定している。 憲法第24条〔家族生活における個人の尊厳と両性の平等〕 @婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 A配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 2 婚姻について 民法では第4編「親族」の第2章のなかに婚姻について定めている。婚姻に関しては、以下の項目がもうけられている。なお第3章は「親子」の問題を取り扱っている。 第2章 婚姻 第1節 婚姻の成立 第1款 婚姻の要件(731〜741条) 第2款 婚姻の無効及び取消(742〜749条) 第2節 婚姻の効力(750〜754条) 第3節 夫婦財産制 第1款 総則(755〜762条) 第4節 離婚 第1款 協議上の離婚(763〜769条) 第2款 裁判上の離婚(770〜771条) 第3章 親子 第1節 実子(772〜791条) ◎民法第2章 第1節 婚姻の成立 第1款 婚姻の要件 第731条〔婚姻適齢〕 男は、満18歳に、女は、満16歳にならなければ、婚姻をすることができない。 第732条〔重婚の禁止〕 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。 第733条〔再婚禁止期間〕 @女は、前婚の解消又は取消の日から6カ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 A女が前婚の解消又は取消の前から懐胎(妊娠)していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。 第734条〔近親婚の制限〕 @直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。 但し、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 A第817条の9〔特別養子縁組による親族関係の終了〕の規定によって親族関係が終了した後も、前項と同様とする。 第735条〔直系姻族の婚姻禁止〕 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条〔姻族関係の消滅〕又は第817条の9〔特別養子縁組による親族関係の終了〕の規定によって姻族関係が終了した後も、同様である。 第736条〔養親子間の婚姻禁止〕 養子、その配偶者、直系卑属(子・孫・甥・姪など)又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条〔離縁による親族関係の消滅〕の規定によって親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。 第737条〔未成年者の婚姻〕 @未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。 A父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。 父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様である。 第738条〔禁治産者の婚姻〕 禁治産者が婚姻をするには、その後見人の同意を要しない。 第739条〔婚姻の届出〕 @婚姻は、戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによって、その効力を生ずる。 A前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。 第740条〔婚姻届出の審査〕 婚姻の届出は、その婚姻が第731条ないし第737条〔婚姻の実質的要件〕及び前条第2項の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。 第741条〔在外日本人間の婚姻の方式〕 外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合には、前2条の規定を準用する。 第742条〔婚姻の無効〕 婚姻は、以下の場合に限り、無効とする。 1 人違その他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。 2 当事者が婚姻の届出をしないとき。但し、その届出が第739条第2項〔婚姻の届出の方法〕に掲げる条件を欠くだけであるときは、婚姻は、これがために、その効力を妨げられることがない。 第743条〔婚姻の取消〕 婚姻は、第744条乃至第747条の規定によらなければ、これを取り消すことができない。 第744条〔婚姻取消事由及び取消権者〕 @第731条乃至第736条〔婚姻の実質的要件〕の規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。 A第732条〔重婚禁止〕又は第733条〔再婚禁止期間〕の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消を請求することができる。 第745条〔不適齢婚取消権の消滅〕 @第731条〔婚姻適齢〕の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消を請求することができない。 A不適齢者は、適齢に達した後、なお3カ月間は、その婚姻の取消を請求することができる。但し、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。 第746条〔再婚禁止期間内の婚姻の取消権の消滅〕 第733条〔再婚禁止の期間〕の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消の日から6カ月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消を請求することができない。 第747条〔詐欺・強迫による婚姻の取消〕 @詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消を裁判所に請求することができる。 A前項の取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免かれた後3カ月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。 第748条〔婚姻取消の効果〕 @婚姻の取消は、その効力を既往に及ぼさない。 A婚姻の当時その取消の原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受ける限度において、その返還をしなければならない。 B婚姻の当時その取消の原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。なお、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責に任ずる。 第749条〔離婚の規定の準用〕 第766条乃至第769条〔離婚の効果〕の規定は、婚姻の取消につきこれを準用する。 第2節 婚姻の効力 第750条〔夫婦の氏〕 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 第751条〔生存配偶者の復氏〕 @夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。 A第769条〔離婚による復氏の際の祭祀供用物の承継〕の規定は、前項及び第728条第2項〔生存配偶者の姻族関係終了の意思表示〕の場合にこれを準用する。 第752条〔同居・協力・扶助義務〕 夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。 第753条〔婚姻による成年化〕 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。 第754条〔夫婦間の契約取消権〕 夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中、何時でも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。 但し、第三者の権利を害することができない。 |