日本人の人生儀礼 |
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12 長寿の祝い 長寿の祝いは日本古来のしきたりで、昔は40才を初老として賀の祝いを行い、以後l0年ごとに祝うのが慣例であった。数え年61歳の還暦、70歳の古希、77歳の喜寿、80歳の傘寿、88歳の米寿、90歳の卒寿、99歳の白寿と、それぞれの長寿の祝いがある。 還暦の祝いは、元服・婚札と並んで三大祝儀の一つであった。家長が61歳になると家督を後継者に譲り、引退するのがしきたりであった。そこで還暦の祝いは、単なる長寿の祝いというより、その家の家系が代々続き、家業が繁栄するという二重の喜びを、祝う日であった。また長寿の祝いは本人の誕生日でなく、めでたい節句の日を選んで祝宴を張った。しかし現在では誕生日に行うことが多くなっている。事業を営んでいる人は、長寿の祝いと後継者の披露とを兼ねてパーティを開き、取引先などを招待して盛大に催すこともある。 ◎還暦の祝い 数え年61歳の祝い。 暦の十干十二支は60年の周期で一巡するので、61歳になると、その人の生まれた年の干支に戻るので還暦、また、「本卦返り」ともいう。赤ちゃんに生まれ変わったという意味で、赤ずきん、赤のちゃんちゃんこや、赤い座布団をお祝いとして贈る。この贈物には、生まれ変わった気持ちで、ますます元気にという願いが込められている。 ◎古稀の祝い 中国の詩人杜甫の詩「人生七十古来稀也」から出た言葉で、70歳の祝いをあらわす。最近では平均寿命が伸びたので、この古稀の祝いに家督や家業を後継者に引き継ぐ披露を兼ね、本人は現役を退いて悠々自適の生活に入るという例がみられる。 ◎喜寿(きじゅ)の祝い 77歳の祝い。喜寿のいわれは、「喜」の字の草書体が七が3つ集まった形となるところから、このように呼ばれるようになった。 ◎傘寿(さんじゅ)の祝い 80歳の祝い。傘寿のいわれは、傘の字をくずすと八十となるところから、きている。 ◎米寿(べいじゅ)の祝い 88歳の祝い。米寿のいわれは、米の字を八十八に分けて書けるところから、このように呼ばれるようになった。この米寿の祝いとして、鳩杖を贈る風習が残っている。 ◎卒寿(そつじゅ)の祝い 90歳の祝い。卒寿のいわれは、卒の字の略字が卆と書けるところから、きている。 ◎白寿(はくじゅ)の祝い 99歳の祝い。白寿のいわれは、百から一を引くと、白となるところから、このように呼ばれるようになった。 ◎百賀の祝い 100歳以上の長寿の祝いは、l00歳は「百賀の祝い」、l0l歳は「百一歳の祝い」として、毎年祝う。 お祝いの仕方 ◎日取り 長寿の祝いのパーティの日時は、本人の誕生日がふさわしいが、招待する。人たちの都合も考えて休日などにする場合は、誕生日以降の日時に決める。 ◎主催 主催は本人の家族。会社関係では総務など周りの関係者が企画・実施することが多い。細かい進行や贈り物は本人には秘密にしておき、会のなかで繰り広げれば、本人の感激も一段とたかまるものである。 ◎招待状 大々的に大勢の招待者を招き、会館やホテルで催すような場合、一か月くらい前から招待状を発送する。この招待状には、会の日時・場所、会の目的や内容を記す。 ◎パーティの進行 家族以外に親交の深い人たちが集い、大がかりに催すパーティの場合には、友人や家族から長寿を祝う祝辞や、祝いの踊りや歌で、本人の長寿を華やかに祝ってあげる工夫が必要である。パーティの会場では、本人が入り口で招待客を迎える。招待客が着席したら、本人が末席に立ってあいさつをする。大勢の人を招待するパーティでは、進行役を決めて来賓の祝辞をいただくようなフォーマルな型にする。家族や親類、親しい友人だけの集まりでは、歌や踊りのある楽しいパーティを考える。この場合本人から、パーティの始まりか、お開きのときに、日ごろの交遊に感謝し、今後の交誼を願うあいさつを述べる。 ◎長寿の祝いの品 家族や親類からは「寿」の字を染め出した座布団や、金杯を贈る習わしがある。最近ではこうした習わしにとらわれず、毛布やひざ掛けなど、お年寄の生活に便利なものが喜ばれる。贈り物には、のし紙に「御祝」か「寿」と表書きし、紅白の水引きを蝶結びにする。 ◎お返し お祝いに対するお返しは、のし紙に長寿の祝いの名称と「内祝」と書き、水引は紅白の蝶結びにする。招待した人たちには、本人が描いた色紙とか短冊などが記念の引き出物として喜ばれる。 13 結婚記念日 結婚記念日を祝う風習は、欧米から伝わったもので、日本では明治27年に、明治天皇が銀婚式の祝いをされてから徐々に一般にも広がった。一般には初期の結婚記念日は内輪に、銀婚式・金婚式は盛大にするのが通例となっている。結婚記念日は、結婚の年数に応じて記念日の名称がある。 |
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お祝いの仕方 ◎日取り パーティの日時は、二人の結婚記念日がふさわしいが、招待する人たちの都合も考えて休日前の夜とか休日の昼に行うのもよい。 ◎主催 普通夫婦が客を招待してパーティを開くが、子供や親しい知人が開くこともある。 ◎招待状 仲人をはじめ、今日まで縁の深かった人達を出来るだけ多く招き盛大に催す。招待状は会の日時や目的、内容を記し、1〜2カ月前に発送する。 ◎パーティの進行 お祝いを受ける二人が会場入り口で招待者を迎える。開宴前には主催者または当事者が日頃の交友に感謝し参加のお礼を述べる。会場の飾り付けは銀婚式であれば銀と緑、金婚式であれば金と白でまとめるなど、記念日にふさわしい飾り付けをする。二人の今日までの歩みをスライドやナレーションで披露したり、踊りや歌で盛大に祝ってあげる工夫が必要である。 ◎パーティの服装 招待者の服装は、正装で招待者を迎える。夫が紋付き羽織ならば、妻は留袖にする。招待側は女性は、和服の場合は色無地か訪問着を、洋服の場合はカクテルドレスが正式。男性はブラックスーツか、ダークスーツのように改まった服装。平服とことわっている場合は、服装にはこだわらずに、ふつうの外出着程度とする。 ◎銀婚式・金婚式の贈り物 銀婚式・金婚式には夫から妻に贈り物をする習慣がある。銀婚式には宝石を、金婚式には金の装身具・宝石を贈る。銀婚式・金婚式に招待された人は、銀婚式には銀のスプーンや銀杯を、金婚式には金杯を贈ったりする。 ◎お返し パーティに招待する場合は、お返しの必要はないが、記念として、「寿」の入ったふくさや風呂敷などを配る。パーティを開かなかった場合には、「内祝」として記念の品を贈る。 14 厄年 厄年は一定の年令で災難にあうおそれがあるので用心して身を慎むという風俗である。これは中国の陰陽道による暦信仰から、平安時代の公家社会に取り入れられたのが始まりである。厄年は男性は25歳、42歳、女性は19歳、33歳である。この年数が言われたのは18世紀末からで、それまでは61歳の還暦や99歳の白寿も厄年と言われ、祝いと厄とは背中合わせの関係にあることがわかる。 また厄年にあたる年令を「本厄」といい、その前年を「前厄」、翌年を「後厄」といいこの3年間を忌む風習もある。 ◎厄年の行事 厄除けは、厄年の前年の大晦日やその年の年頭、あるいは節分の日に神社にお参りする。その他、いくつかのしきたりがある。 @神参りに行ったときに、身についたものをわざと落としてくる。 A餅や豆をまく B親戚や近隣の人を招待して宴会を行う(厄を食べてもらう) C女性の厄にはうろこ模様のものを身につける(うろこは魔除けの力をもっと信じられている) |