キリスト教結婚式

　キリスト教の結婚式には、主にプロテスタント系とカトリック系のものがあり、宗派により多少結婚に対する教えや式の順序に違いがある。最近は、教会や結婚式場内のチャペル、あるいは海外の教会で挙式する人が多くみられるようになった。新郎･新婦ともに信者でない場合でも、あらかじめ教会の承諾を得れば、各教派で定める規定に従うことを条件に受け付けてくれることが多い。

1　プロテスタント(新教)の結婚式
　プロテスタントの結婚式の式次第は、同じ宗派でも教会によって多少異っているが、だいたい次のような順序で行われる。清楚な花で飾られた教会堂において厳粛に儀式が始められる。

(1)参列者入堂　209seki.gif
　まず、両家の家族、親族、友人、信者などの参列者は、定刻前に会堂に入って式を待つ。式場は、正面に向かって右が新郎側の席、左が新婦側の席となる。父母が最前列を占め、その後に兄弟姉妹、親族というように血縁の深い者から順に座る。一般参列者は、近親者の席以外のどこに座ってもかまわない。なお、式の始まる直前に、入口から正面までバージン･ロードと呼ばれる純白の布が敷かれるが、一般参列者はこの白い布を踏んではいけない。




(2)新郎･新婦入堂
　オルガンの奏するウエディングマーチにつれて、新郎はベスト･マン(新郎の介添え役)または媒酌人とともに正面に向かって右手から入って新婦を待つ。新婦はプライド･メイド(新婦の介添え役で2名必要)を先導に、父親と左腕を組むか、媒酌人夫人に付き添われて、バージン･ロードの上を聖壇の方へ進む。聖檀前の右側に新郎と付添人が並び、左側に新婦とその付添人が並ぶ。このとき、親族や一般参列者も起立する。

(3)司式者の式辞
　司式者である牧師は、結婚の神聖を説いたうえ、新郎･新婦と会衆に向かって、｢この婚姻が道にかなわないものか否か｣の旨を問い異議のないことを確認して、結婚の儀式に移る。

(4)讃美歌合唱･聖書の朗読
　儀式は、参列者一同起立して讃美歌の合唱で始められる。司式者は、聖書のなかの夫婦の務めに関する章を朗読する。

(5)折祷･説教･結婚の誓約
　つづいて司式者の祈祷がある。祈祷が終ると説教があり、そのあと結婚の誓約が行われるので、新郎･新婦は、証人となる付添人とともに司式者の前に立つ。司式者は、新郎･新婦に向かい｢神の定めに従って…いのちの限り、かたく節操を守ることを誓いますか。｣と問い、新郎･新婦は、それぞれ｢はい、誓います。｣と答えて誓約を行うと、司式者は、 新郎･新婦に握手をさせて、その上に牧師の右手を重ね｢婚姻させる｣旨を宣言する。

(6)結婚指輪の交換
　結婚指輪を交換する場合、前もって司式者が預っておくか、指輪をもつプライド･メイドのある時は、指輪を媒酌人の男子が受けとり新郎へ、新郎から牧師へと渡す。結婚指輪は、司式者から新婦用のものを新郎に渡し、新郎はそれを新婦の左手薬指にはめる。ついで司式者から新郎用のものを新婦に渡し、新婦はそれを新郎の左手薬指にはめる。新婦が婚約指輪をもらっている場合、結婚指輪は婚約指輪の上にはめないことになっているから、新婦は結婚式当日には婚約指輪をはめないか、はめている場合は、介添え役の人に持たせることもある。この時花嫁の持ってる花束はプライド･メイドか媒酌人に預ける。

(7)祈祷･司式者の宣言･讃美歌合唱･祝祷
　指輪の交換が終わると司式者が、二人の手を組ませ自分の手を重ねて祈祷したあと、｢神と会衆との前において夫婦たるの誓約をしました。｣と二人が夫婦であることを宣言する。全員が起立し、讃美歌を合唱し、最後に司式者が祝祷をささげて式が終る。

(8)新郎･新婦退堂
　司式者の祝祷が終ると、結婚行進曲の奏楽とともに、参列者一同が起立し、見送るなかを、 新郎が左手で新婦の右腕をとって退出行進の先頭を進む。行進が終わると、新婦の父母、新郎の父母、そして両家の親族、一般参列者の順で退出する。なお、教会の外では新婦によるブーケトス、友人によるライスシャワーが行われる。

2　カトリックの結婚式
　カトリック教会は、正統教義を奉ずるローマ･カトリック教会をさし、結婚式は男性と女性に課せられた義務とし、結婚式も神聖な儀式として進められる。結婚の儀式は、婚姻の祝別式と婚姻のミサ聖祭の2つの儀式からなっており、婚姻の祝別式とは、結婚式を指し、訓話、婚姻の誓約、結婚指輪の交換の順で進められ、そのあと二人ともカトリック信者の場合のみ｢ミサ聖祭｣が行われる。ミサ聖祭は、キリストが定めた神の特別な恵みのしるしとされ、聖歌隊による聖歌の合唱、司祭の聖書の朗読、聖体拝領の順に行われる。聖体拝領とは、主の御体と御皿であるパンとぶどう酒を、聖体拝領台の前にひざまづき、共に受け、新郎･新婦がかたく結ばれる儀式を云う。

◎式次第
一、参列者入場･着席
一、新郎新婦･証人の入場(式司祭入場に続いて新郎が父親･証人とともに入場。続いて新婦が父親･証人と入場)
一、祝詞と挙式前の祈り･聖書奉読(新郎新婦は祭壇に向かって並び、司祭は聖書を読み上げる)
一、説教
一、誓約誓言(新郎新婦は向かい合って握手し誓いの言葉を述べる)
一、指輪の祝別と交換
一、祝福の祈り
一、結婚証書への署名(新郎･新婦･証人･司祭の順に署名)
一、終了の挨拶と祝福
一、新郎･新婦退場
一、参列者の祝詞



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